歯並びに関するお悩みの中でも特に多いのが、出っ歯です。出っ歯を治すための一般的な矯正治療としてはワイヤー矯正ですが、装置が目立つことに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。そのような方に向いているのが、取り外しができるマウスピースを使ったインビザラインです。ではインビザラインで出っ歯を治すことはできるのでしょうか。

インビザラインの特徴

インビザラインは、ワイヤー矯正とは全く逆の特徴を持つ矯正治療法です。ワイヤー矯正は、矯正治療が終わるまで装置を取り付けて歯を動かす固定式の治療法ですが、インビザラインはご自身でマウスピースを取り換えながら歯並びを整える、非固定式です。同じ歯並びを改善する矯正治療でも、両者の特徴は全く反対です。

ワイヤー矯正はお口の中に装置を付けたまま過ごすので食事や歯磨きに制限が出てしまいます。

インビザラインは目立たずに治療を行えることはもちろん、マウスピースを取り外して食事や歯磨きができるため、日常生活を快適に送ることができます。これまでと変わらない日常生活を送ることができるのは、インビザラインの最大のメリットです。

しかしインビザラインにもデメリットがあります。それはご自身でマウスピースの管理をしなければならないため、管理の仕方によっては歯が治療計画通りに動かないことがあることです。ワイヤー矯正は固定式で、通院時に医院側がワイヤーの調整を行うので順調に歯が動きますが、インビザラインの場合、付け忘れや取り換えを怠ると、歯が計画通り動きません。ご自身で管理ができない方は、インビザラインは不向きです。

この両者の特徴をまずしっかりと理解しておきましょう。

出っ歯の原因とは？

では次に出っ歯についてお話を致します。出っ歯になるのは、主に2つのケースが考えられます。

①歯だけが前へ出ているケース

他の歯はそうでもないのに、前歯だけが前方へ飛び出しているケースの場合、考えられるのは毎日の何気ない悪癖です。特に幼いころの長期間にわたる指しゃぶりや、舌で歯を押す癖が出っ歯になる代表的な悪癖と言われています。

歯は力を長時間加えることで動く性質を持っています。歯に弱い力を加えるということは、矯正治療も同じです。装置を付けて歯に力をかけることで歯を動かしますが悪癖も実は同じことで、歯に一定方向の力を加え続けることで、悪いほうへと導いてしまうのです。指しゃぶりや舌癖による出っ歯は、その代表的なものと言えるでしょう。

また歯並びがガタガタで歯と歯が重なっているために出っ歯になるケースも多く見られます。

特に日本人の場合、顎の骨が狭く永久歯が並ぶスペースが不足し、前歯が前へ押し出されて出っ歯になるケースが非常に多く見受けられます。

②骨格が原因で前歯が出ているケース

もうひとつは、骨格全体が前方へ出ているケースです。歯並びそのものは揃っているように見えても、上顎全体がアーチ状に前へ出ていることで、出っ歯になってしまいます。これは遺伝や骨格に問題があると考えられています。

出っ歯はインビザラインで治せるの？

出っ歯をはじめ、様々な歯並びのお悩みを改善する一般的な治療法はワイヤー矯正です。しかしインビザラインも様々な症例に対応できることから、インビザラインによる治療を希望する方も多いことでしょう。

では出っ歯はインビザラインで治せるのでしょうか。

その答えは、「できるケースとできないケースがある」です。ではできるケースとできないケースは、どのような違いがあるのでしょうか。

①インビザラインで治せるケース

多くの出っ歯はインビザラインで改善することが可能です。例えば歯だけが前に出ている歯性のほとんどは、インビザラインで治すことができます。またデコボコの歯並びが原因で歯が前に押し出されて出っ歯になっているケースでも、インビザラインで治せることがあります。この場合、抜歯が必要と診断されることがありますが、スペースを作るために抜歯が必要な症例でも、インビザラインで治すことは可能です。抜歯した歯の隙間を埋めながら、歯並びを整えて出っ歯をきれいに治していきます。

②インビザラインでは難しいケース

多くの症例に対応できるようになったインビザラインですが、中にはインビザラインでは対応が難しいケースがあります。例えば骨格が根本的な原因となっている場合、インビザラインでは恐らく対応できません。また外科矯正が必要と判断されたケースでも、インビザラインでは難しいでしょう。

つまり顎の骨格が原因の出っ歯の場合、インビザラインだけで治すことは難しいということになります。外科治療が必要と判断されたら、外科治療後、ワイヤー矯正単体あるいはワイヤー矯正を併用した治療法が多く用いられます。

まずはご自身の出っ歯の原因を把握し、症状に応じた治療法で改善しなければいけません。

なお過蓋咬合や受け口など、噛み合わせの状態によってインビザラインでは難しいと言われているものでも、インビザラインで対応できることもあります。

多くの出っ歯はインビザラインで治すことが可能です

出っ歯にお悩みの方はとても多くいらっしゃいます。ちょっとだけ出ているケースや、かなり重度のケースなど状態は様々ですが、出っ歯であることで口元に自信をなくしてしまうのはとても勿体ないことだと思います。

目立たずに歯並びを治すことができるインビザラインの場合、出っ歯を治すことは可能です。しかし顎の骨格によるものや、重度の叢生のケースではインビザラインだけで治すことができないこともあります。

まずはご自身の症状がインビザラインで治療が可能かどうか、インビザラインの実績が多く、信頼できる医師の元で相談してみましょう。

 

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